勉強のための勉強してみませんか?

 ーはじめにー

 今まで僕は「勉強」といえばとりあえず情報、知識を入れればいいと考えていました。つまり、勉強の方法について勉強したり知識を増やそうと考えたことがありませんでした。でも考えてみたらそれは非常におかしなことで、例えば、テニスを始めようとしたらテニスのルールを把握して、ラケットの使い方を覚えて・・・というようにそのものの理解をしなければ始められません。しかし、勉強に関しては小さい頃から学校で行うためか、自分はもう勉強の仕方を知っているものだと思い込んでしまっているのではないでしょうか。

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 そこで、今回はAmazonさんで勉強に関する本をとりあえず10冊購入し、読んでみました。今日はそこで得た知識を自分の中に定着させるため、少しでも勉強に関して知りたいと思う方に知識を共有するために10冊程度ですが僕なりに内容を凝縮してご紹介しようと思います。

 1.そもそも勉強とは?

 そもそも「勉強する」とはどういうことを指すのでしょうか?

「勉強する」とは情報を脳に入れる(input)の作業とその情報を使って応答(回答)を行う(output)の作業であると言えます。

 すなわち、脳は情報に対して処理を行い使いたい形に変化させる情報処理装置であると言えます。脳はコンピュータの様なものであるということです。しかし、脳とコンピュータは似たものでありますが、決定的な違いがあります。それは演算処理の方法です。コンピュータがデジタル信号に対して0か1で処理を行うのに対して、脳は様々な情報伝達物質によって細胞間での伝達を行います。すなわち、コンピュータは正確無比が売りですが、脳は曖昧さ・柔軟性が強みとなってきます。 

2.脳の構造・仕組みについて

 脳は場所によって司る機能が異なります。たとえば、後頭部付近にある脳機能は視覚野と呼ばれる視覚に関する部分、頭頂部付近にある脳機能は運動野と呼ばれる運動神経に関する部分といった様式です。これらの内、感情・思考・記憶に関する脳回路がダイナミック・センターコアと呼ばれ脳の前頭から側頭に渡る部分に存在します。ダイナミック・センターコアはA10神経群、前頭前野、自己報酬神経群、リンビックシステムから形成され、それぞれが自己保存、統一・一貫性、自我、共生の本能を司っています。以下にそれぞれの機能について説明します。

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脳が思考する仕組み 引用:http://president.jp/articles/-/6965
  1. A10神経群・・・インプットされた情報に対して「面白い」「楽しい」「つまらない」などの感情のレッテルを貼り付ける。
  2. 前頭前野・・・情報の理解・判断を行う。
  3. 自己報酬神経群・・・ドーパミン神経群の一部で自主性・主体性を生み出す。
  4. リンビックシステム・・・海馬回・大脳辺縁系を含み、情報を記憶として保存する。

 これらの本能に直結してヒトの感情が生成されます。すなわち、自己保存は正負の感情、統一・一貫性は安定性・協調性の感情、自我は承認欲求、共生はコミュニティ欲求を生み出します。そのため、これらの感情を刺激することで脳機能を高めることができます。

3.集中力とは

 勉強においてやはり重要になってくることが集中力です。”集中力”という言葉は皆さんご存じでしょうが、具体的に集中力とはどんな力のことを指すのでしょうか。ここで本の一部を引用させて頂きたいと思います。

「集中」とは、「あなたの力を一点に集める」こと。

そして、「集中力」とは、「あなたの力を一点に集める技術」になります。―「机に向かってすぐに集中する技術」p.44 著:森 健次郎

 すなわち、集中力とは集中状態に入るための力であり、集中状態とは無心で一つのことに取り組めている状態だと考えられます。子供のころに時間も忘れて夢中で遊び暮れた経験があるのではないでしょうか。このような状態が集中状態にあたります。

 

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 では、集中力を鍛えるためにはどうしたら良いのでしょうか。

 まず、集中力を高めるために必要となってくるのが「リラックス状態」になることです。ヒトは過度な緊張状態にあるとワーキングメモリと呼ばれる脳において一時的に情報を保管しておく機能が低下してしまいます。緊張していると他人の会話が頭に入ってこなかったり、人前で説明しようとしてもうまく言葉がでないという経験があるのではないでしょうか。これは緊張によって脳に負荷がかかってしまいワーキングメモリの機能が低下してしまっているからなのです。

 次に、集中前に一定の動作を行うことです。一般にルーティンと呼ばれます。ルーティン→集中という習慣をつけることによって集中状態に入るための障壁を下げることができます。

 そして最後に重要なポイントがやらなければいけないことを1つに絞って、その時間はその作業のみを行うことです。すなわち、シングルタスクです。この時できるだけ机の上もそれ以外のものを置かない方が良いです。脳というのは新しい刺激に対して非常に敏感に働く性質があります。そのため、やること以外の刺激を断つことで集中状態の維持に繋がっていきます。

 つまり、集中状態に入るためには

  1. リラックス状態を作る
  2. ルーティンを行う
  3. シングルタスクで取り組む

この3要素が重要になってきます。

4.具体的な勉強方法の提案

 では具体的にはどのようなことをしていけば良いのでしょうか。ここでは今まで述べてきたことを踏まえた実践方法を提案していきたいと思います。

良い姿勢で勉強を行う

 コンピュータと同じくヒトの脳は使い続けると熱を帯び始めます。この時コンピュータで言うラジエータ(熱を逃がして冷却を行う装置)に当たるのが「鼻呼吸」です。鼻呼吸によってヒトの脳は冷却され、冷静な思考・理解を行うことができます。良い姿勢で勉強をすることで鼻呼吸がスムーズに行われ、脳のオーバーヒートを防ぐことができるのです。また、良い姿勢は体への負荷が小さくなるため長時間の勉強に大いに効果があります。

思考系科目は午前中に、暗記系科目は午後または寝る直前に行う

 よく聞く話ですが、ヒトの脳は寝ている間に情報の整理を行い、必要な情報とそうでない情報の取捨選択を行います。そのため、午前中は情報の整理が終わってからあまり時間が経っていないため、脳疲労が少なく脳機能を存分に発揮することが可能です。また、暗記系科目を寝る直前に行い、できることなら起きた直後に同様の学習を行うことで脳に学習内容を必要な情報であると判断させ、記憶することができます。

 さらに、睡眠に関していうと外部刺激の遮断を行うことで脳疲労に関して睡眠と同様の効果が得られます。つまり、試験前夜眠れなくて不安になったり、日々の勉強のストレスで不眠になったりしても、開き直って他のことをするのではなく目をつぶっているだけで良いので寝たふりをしている方が脳は休まるのです。また、寝なくても良いと意識するだけで交感神経が抑えられ案外眠れたりします。ぜひ、無理に寝ようとするのではなく気軽な気持ちで寝なくてもいいや、と意識してみてください。

やるべきことに優先順位をつける

 先ほど説明しましたが、集中して勉強に取り組むためにはシングルタスクが重要になってきます。すなわち、やることが明確に把握できていない場合、作業中であっても余計なことを考えてしまい一点集中ができなくなってしまいます。そのため、やるべきことに優先順位をつけておき、この時間はこの作業のみを終わらせると明確に定めてしまうことがポイントになります。また、優先順位を明確に定めておくことで、次の作業に移る際に、次は何をしようかなと考えなくて済むためワーキングメモリの消費を抑えることができ、より質の高い勉強が可能になります。

数字での認識を行う(ステレオタイプ、チャンク化)

 前述で、ヒトの脳は曖昧さ•柔軟性が強みと書きましたが、言い換えるとこれは「本質を見抜く」ことに長けているということです。ヒトの脳というのは正確に物事を覚えることは苦手ですが、分類や類似性を探すことは得意とします。例えば、麻婆豆腐、回鍋肉、ごま団子と聞けば、中華料理が関連しているなとわかることです。このように全部を正確に覚えるのではなく、本質(例えば中華料理)と覚えたのちに3つ(麻婆豆腐、回鍋肉、ごま団子)あったなと覚え、より具体的な名前を覚えると言うように数字を認識しながら覚えていく方がより効率的に覚えることができます。

作業興奮を使う

 作業興奮とはドイツの心理学者クレペリンが提唱した理論で、簡単にいうとやる気がない時に短い時間でもよいのでとりあえず作業を行うと次第にやる気が出てくると言うものです。これは、作業によって脳の側坐核が刺激され、ドーパンミンが放出されることによりやる気が出てくるものだとされています。やる気がない時はとりあえず5分だけやってみる、それでもやる気が出なければ一旦休憩しまた5分やってみる、そこでやる気が出ればそのまま続ける、といったようにやる気がない時はとりあえず短い時間で良いのでやってみることをお勧めします。

感染理論で自己を変える

  感染理論とは簡単に言えば、ヒトは自分と似た考え方・生活習慣のヒトから影響を受けやすい、というものです。また、目標感染というものもあり、これは親しい仲のヒトか目標を掲げて行動し始めると自分も何かに取り組み始めるというものです。これらは心理学の研究によって提唱された理論で、これらのヒトの特性を利用することで自らを良い方向に傾けて行くと良いと思います。すなわち、自分の目標とする人や自分の尊敬できる人と親しくなることで、自己を自然に無理なく変化させることができるのです。

 

 如何でしたでしょうか。今回は比較的簡単に取り組むことができるものを紹介させていただきました。全てを習慣化することは難しいため、自分でもできそうなものを1つ選んで1つずつ習慣化していくことをお勧めします。ちなみに経験談から言うと、良い姿勢と作業興奮は非常に簡単に取り組むことができ効果を実感できています。

 今回紹介したものが全てではないため、興味がある方は是非自分で調べてみたり自分なりに工夫して実践してみたりして頂き、より質の良い勉強をできるようになって頂ければ幸いです。

 また、僕もまだまだ未熟の未熟です、もし間違っているものやもっと効率の良い勉強法などございましたら、ご指摘の方よろしくお願いいたします。

 至らない部分もあったでしょうが、最後まで読んで頂きありがとうございます。

参考図書

受験脳の作り方ー脳科学で考える効率的学習法(新潮文庫

アタマがみるみるシャープになる!脳の強化書(あさ出版

実験心理学が見つけた 超効率的勉強法~復習はすぐやるな!思い込みで点数アップ!~(誠文堂新光社

脳が認める最強の集中力 最新脳科学が教える自分を劇的に変える習慣(SBクリエイティブ

自己を劇的に成長させる!PDCAノート(フォレスト出版

賢者の勉強技術 短時間で成果をあげる「楽しく学ぶ子」の育て方(CCCメディアハウス)

ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門(あさ出版

机に向かってすぐに集中する技術(フォレスト出版

「結果を出す人」だけが知っている勉強のヒント!思考の個性で勉強しよう!(ごきげんビジネス出版)

運はあやつれる(望みどおりの人生を実現する最強の法則)(マキノ出版